イエスマンとは自分の意見を持たず、他人の言うことに何でも従う人です。一見「合わせてくれる」「気が利く」など、害がなさそうに見えますが、他人に依存するために自分で判断する力が低く、重要な場面でも責任を取らず、状況を悪化させることが多いです。イエスマンになってしまう心理背景はなんなのか、どのような問題が起こるのかを詳しくまとめました。

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職場や学校、友達同士など、この社会の中で生きている限り、人との関わりは必要不可欠ですよね。それゆえにどんな人でも、大なり小なり人間関係の悩みを抱えているのではないでしょうか。国内の発行部数が300万部を超える「嫌われる勇気」でも「すべての悩みは対人関係の悩みである」というアドラーの教えが出てきます。ここではそんな人間関係の悩みに関する情報をまとめています。より生きやすくなる手助けができれば嬉しいです!

どんな人がイエスマンになりやすい?

自己肯定感が低い

イエスマンは自己肯定感が低いことが多く、他人の承認を求める傾向があります。自分の意見を持たずに、相手に合わせることで、「他人に認められる」「好かれる」と感じられるため、つい相手の意向に従いがちです。これは、幼少期の家庭環境や経験から作られる場合が多く、特に厳しい親の下で育った場合や、常に他者と比較された経験がある人が陥りやすい傾向があります。

対立を回避したい

対立や衝突が苦手な人は、他者との意見の違いを表すことに強い不安を感じます。周囲の空気を壊すことや、人間関係が悪化することを極端に恐れ、「ノー」と言うことが、相手に嫌われたり、孤独を招いたりすることを恐れ、結果的に相手の意見に従う選択をしてしまいます。

評価を得たい

職場や学校でイエスマンが生まれるのは、上司や同僚からの評価を得たい、出世したい、問題を避けたいといった思いがあるからです。意見を合わせることで「波風立てない」「協力的な人」という印象を持たれやすくなります。そのため、相手に逆らわずに従うことが安全と考えます。

自己犠牲の精神

他人のために尽くすことを「美徳」と考えるタイプの人も、イエスマンになりやすい傾向があります。自分の意見や感情を押し殺してでも相手を優先させようとする姿勢が、結果として相手に合わせる行動に繋がります。

過去の経験からの学び

過去に意見を表明したことで否定されたり、痛い思いをした経験がある場合、それがトラウマとなり、意見を表すことに消極的になることがあります。この様な過去の経験が強く影響する場合、自分の意見を持つことや表現すること自体が恐怖の対象になっていることもあります。

自分の価値観が分からない

イエスマンは、自分の価値観や境界線がしっかりと確立できていないことが多いです。そのため、他者からの影響を受けやすく、自分自身の意見や欲望が不明瞭な場合があります。この背景には、自己理解の不足や、自分の自信が持てない心理が影響しています。自己の価値が確立していないと、他者の意見に左右されやすく、相手に同調することで「自分の立ち位置」を保とうとします。

「イエスマン」はいい面もたくさんある

  • 協調性が高い
    イエスマンは他者に合わせる能力が高いため、集団の調和を保つのが得意です。チームや組織の中で、対立を避けることで円滑な人間関係を築きやすく、周囲に安心感を与える存在となることもあります。
  • 優秀なサポート役になれる
    イエスマンは他者の意向やニーズを敏感に察知し、それを忠実に実行する能力に優れています。リーダーや上司の補佐役、またはチームプレイをする際に非常に頼りになる存在です。
  • 対人関係で柔軟性がある
    他人に合わせる力が強いため、様々な性格や立場の人と上手にやっていける柔軟性を持っています。異なる文化や価値観の中でも調和を保つことができ、他人から好かれやすいです。
  • 自己犠牲的なやさしさ
    他者を優先し、自分を後回しにすることで周囲を助けることができます。特に困難な状況で、周囲の負担を減らすために自らを犠牲にする姿勢は、人から感謝されることが多いです。
  • 成長が早い
    イエスマンは他人の意見や支持を素直に受け入れるため、指導や教育を受ける場面での成長が早いです。批判やアドバイスに対しても柔軟に対応でき、学びを得ることができます。
  • リスクを抑える能力がある
    イエスマンは新しいことや変化を追求するよりも、既存のやり方や方針に従う傾向があるため、リスクを抑える行動が得意です。安定が重視される場面では、失敗を避けるために適した行動をとります。
  • 信頼感を得やすい場合がある
    他人に対して否定的な意見をほとんど言わないため、「この人といると安心できる」と思われることが多いです。そのため、対人関係において関わりやすい空気を作り出し、周囲からの信頼を得やすくなります。
  • バランスを取るのが得意
    異なる意見や立場の間でバランスを取り、調整役としてチームやグループをまとめる能力に優れています。意見を極端に偏らせず、場の調和を保つことができます。
  • 気配りができる
    他人の気持ちを察する力が強く、細やかな気配りができることが多いです。相手のニーズに応える行動が自然にできるため、感謝されやすくなります。

このようにイエスマンは協調性の高さやサポート力の高さ、調和を保つ能力などに長けています。しかし、これらの能力はストレスが溜まりやすいものです。そのため、無理をしすぎないように周りが配慮し、本人がストレスをためない環境を整えることが大切です

イエスマンのデメリットを5つ紹介

  • 自分の意見や価値観が分からなくなる
    イエスマンは他人に合わせすぎるあまり、自分の意見や価値観が曖昧になりやすいです。その結果自分の本当の気持ちが分からなくなり自己喪失感や空虚感を抱くことが多くなります。この状態が続くと、自己肯定感がさらに低下し、悪循環に陥る可能性があります。
  • ストレスとメンタルヘルスの悪化
    他人にばかり合わせていると、自己主張ができないことへのフラストレーションが蓄積され、ストレスが増えます。自分の本音を隠し続けることは心に負担をかけ、結果として不安や抑うつを引き起こすリスクが高まります。
  • 自己成長の機会が減る
    イエスマンは他人の期待に応えることに集中するあまり、自己成長や新しいスキルの習得が疎かになる傾向があります。本来の自分の興味や才能を発揮できず、自分の能力を高める機会を失いがちです。これにより、本人が持っている可能性が十分に発揮されない可能性があります。
  • 信頼されにくい
    イエスマンの行動は相手に「本音を話していない」と感じさせることも。常に相手に合わせる態度は、逆に「信用できない人」という印象を与えがちです。特に、意見を求められる場面では、「本心の意見が欲しい」と思っても期待に応えられず、周囲の信頼を失うリスクがあります。
  • 悪用される可能性がある
    イエスマンの態度は、他人がそれを利用しやすくなる状況を作りやすくなることがあります。特に、周囲の人がその人を「いつも従ってくれる便利な存在」として認識してしまうと、頼りすぎたり、無理な要求をしてしまう可能性がでてきます。その結果、イエスマン自身が無理を重ね、人間関係がうまくいかなくなることがあります。

こんなトラブルが起こるかも…

恋人の場合

恋人が何でも「いいよ」「分かった」といってくれるため、喧嘩になったことがほとんどありません。
最初は「相性がいい」と感じていましたが、次第に「本当は何を考えているのか分からない」と感じるようになりました。
ある日、「もっと本音で話してほしい」と伝えると、

恋人

自分が本音を言ったら嫌われる気がして怖かった

と告白され、本音を隠されていたことにショックをうけ、関係を見直すきっかけになりました。

友達の場合

いつも悩み相談に乗ってくれる友達がいて、頼りがいがあるなと感じていました。しかし、「いつも私ばかり話していて、あなたのことを聞けていない気がする」と思い、聞いてみたところ、

友達

実は、あなたに合わせるのがしんどいところもあるけれど、気付つけたくなかった

と言われ、関係のバランスが崩れていることに気付かされました。

職場の場合

職場で頼みごとをすると、同僚がいつも「大丈夫」「任せて!」と快く引き受けてくれるので助かっていました。
しかし、プロジェクトの途中で同僚が突然

同僚

もう限界!

と泣きながら退職を申し出て驚きました。
後から話を聞くと、

同僚

実はキャパを超えていたが、断れなかった

とのこと。周囲も「もっと早く気付いてあげればよかった」と後悔し、反省しました。

イエスマンを改善するには?

自分の価値観と他者の期待を分けて考える

まずは「自分が本当に大切にしたい価値観」と「他者からの期待や欲求」を分けて考える練習をします。例えば、仕事で成果を出すことが「自分の価値」だと感じがちですが、それは実は他者の期待である場合もあります。日記やメモに「自分にとって重要なこと」「他者が求めていること」を書き出すことで、これを明確に分けて意識する習慣をつけましょう。

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「ノー」の代わりに「イエス、でも」を使ってみる

いきなり「ノー」と断ることはなかなか難しいですよね。そんな時は完全な拒否のかわりに「イエス、でも」という形を使ってみましょう。例えば、「それは面白そうだね、でもこんなのもいいと思うんだ」といった言い方にすると、相手の意見を一度は受け入れつつも、自分の意見を伝えることができます。

「意見を言う」ではなく、「一緒に考える」ことを意識する

「自分の意見を言わなければいけない」と考えながら話すことはプレッシャーになることがあります。そのため、「一緒に新しいアイデアを作り出す」という共創の意識に切り替えてみましょう。相手の意見に対して自分なりの考えを加えることで新しいアイデアを作り出すことができます。

「リフレーミング」の習慣を持つ

イエスマンの人は「断ると嫌われる」「対立は悪い」といった思い込みを持ちやすいため、リフレーミングの練習が役立ちます。例えば、意見を言うことを「私の成長の機会」と捉えるようにする、断ることを「自分の境界線を大切にする行動」と認識するなど、考え方をポジティブに変換します。自分の行動を捉えなおすことで、対人関係におけるプレッシャーが軽減され、少しずづ断ることへの抵抗が減っていきます。

「相談」の形で表現してみる

いきなり強く自己主張することが難しい場合、まずは「相談」という形で自己表現をしてみるのもおすすめです。例えば、「私はこう考えているんだけど、あなたはどう思う?」と相手に相談する形で話すと、ハードルが下がります。これを繰り返すうちに、事前に自分の意見を言えるようになり、自己主張の力が養われます。

小さな決断を意識して練習する

日常生活での小さな決断を増やしてみましょう。例えば、「ランチで何を食べるか」「週末にどこに出掛けるか」といった小さな選択を自分の意思で決める練習をします。小さな決断を重ねることで、自分が何を好み、どの様な選択をしたいのかが見えてきます。これが積み重なっていくと、他人に合わせずに自己決定する力がついていきます。

まとめ

イエスマンは協調性の高さやサポート力の高さ、調和を保つ能力など、いい面がたくさんあります。しかし、周りの意見に合わせるあまりストレスをため込んでしまったり、本心が分からない…と思われ深い関係を築きにくくなってしまうなどの問題も。イエスマンである人は相手の気持ちを察知することができるので、必要な時に自分の意見をいう力をつけることでとても良い人間関係を築くことができるでしょう。

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