プロクラスティネーション(Procrastination)とは、「やるべきことを意識的に後回しにしてしまうこと」や「先延ばしの習慣」のことを指します。日本語では「先延ばし」「後回し癖」「ぐずぐずやる」という表現をすることもあります。この現象は脳の「報酬システム」に関係していて、多くの人が当てはまる悩みです。ではこのプロクラスティネーションは何が原因で、克服するにはどのようなことが必要なのでしょうか?

miho
職場や学校、友達同士など、この社会の中で生きている限り、人との関わりは必要不可欠ですよね。それゆえにどんな人でも、大なり小なり人間関係の悩みを抱えているのではないでしょうか。国内の発行部数が300万部を超える「嫌われる勇気」でも「すべての悩みは対人関係の悩みである」というアドラーの教えが出てきます。ここではそんな人間関係の悩みに関する情報をまとめています。より生きやすくなる手助けができれば嬉しいです!
何個あてはまる?プロクラスティネーション度診断
プロクラスティネーション診断
・0~3個:プロクラスティネーションの可能性は低いです。
やや先延ばしの傾向はありますが、タスクを効率的に進める能力が高いようです。この調子で計画的に行動しましょう。
・4~6個:プロクラスティネーションの傾向があります。
時々先延ばしにしてしまうことがあるようです。自分の行動パターンを見直し、小さな改善から始めてみましょう。
・9~12個:プロクラスティネーションの可能性が高いです。
やるべきことを後回しにすることが日常的になっているかもしれません。タスクを細分化したり、締め切りを設定するなど、意識的に対策をしてみましょう。
・13個以上:プロクラスティネーションが深刻な状態です。
先延ばしが大きなストレスや生産性の低下に繋がっている可能性があります。必要であれば専門家の助けを借りることも検討してみましょう。
プロクラスティネーション(先延ばし)の原因は脳の仕組みにある

先延ばしをしてしまう原因はいくつかありますが、特に脳の報酬システムと深い関係があります。
- ドーパミンと快楽
脳はドーパミンという神経伝達物質を通じて報酬(快楽)を感じます。短期的で即時的な報酬(例:SNSを見る、ゲームをする)はドーパミンの放出を感じやすく、脳が「楽しい」と感じます。その結果、長期的な努力が必要なタスクよりも、目の前の快楽的な行動を優先しがちになります。 - 「今」と「未来」の報酬の違い
脳は未来の利益よりも現在の利益を過大評価する傾向(時間的割引)があります。例えば、「今すぐ楽をする」という報酬(SNSをチェックするなど)は「後で成功する」という報酬(仕事を終わらせるなど)よりも脳にとって魅力的に感じられるため、タスクを先延ばしにしてしまうのです。 - 不快感を避ける
脳はストレスや不快感を避けようとする傾向もあります。面倒なタスクや難しい課題に直面すると、不快感を避けるために意識的・無意識的に別の行動を選びます。
その他の複雑な原因は?
心理的な要因
- 完璧主義
すべてを完璧にこなそうとするプレッシャーが強く、結果として行動を始められないことがあります。 - 失敗を恐れている
失敗する可能性を恐れて、タスクに取り組むこと自体を避ける場合があります。 - 自信がもてない
自分にはタスクを完璧に完了させる能力がないと思い込むことで、行動が制限されます。 - 動機がない
タスクに興味がない、あるいは価値が感じられない場合、取り組む意欲が湧かないことがあります。 - 不安やストレス
タスクの大きさや難しさに圧倒され、不安が先延ばしの行動につながることがあります。
環境的問題
- 誘惑が多い環境
スマートフォンやテレビなど、気を散らすものが身近にあると集中しにくくなります。 - 明確な目標や計画の欠如
何をすべきか、どのように進めるべきかが明確ではない場合、行動に移しにくくなります。 - 時間管理の問題
タスクを適切にスケジュール化できないことが原因となる場合があります。
生物的要因
- エネルギー不足や疲労
睡眠不足や健康状態の低下により、集中力ややる気が低下することがあります。 - 注意欠陥多動性障害(ADHD)などの影響
脳の自己制御機能の影響で先延ばしを引き起こしている可能性があります。
プロクラスティネーション(先延ばし)を克服するには?

先延ばしをしてしまうことは、完全に治すのは難しいかもしれません。しかし、原因をしっかりと理解し、適切に対策していくことで、大幅に改善することができます。
心理的な解決策
タスクを小さく分ける
タスクをできるだけ小さな部分にわけ、始めるハードルを下げてみましょう。
例:「資料を作成する」という大きなタスクではなく、「フォルダを開いてファイルを確認する」など、始めやすい行動を設定していく。
自己効力感を高める
過去に成功した経験を振り返り、自分は達成できる能力があると意識してみましょう。
例:「以前もこのくらいの仕事を終わらせることができた」と自分に言い聞かせる。
完璧主義を手放す
完璧を求めるより「まず終わらせること」にフォーカスしましょう。
例:「完璧でなくてもい、80%の完成度でも十分」と考える
完璧主義についてはこちらの記事で詳しくまとめています。参考にしてみてください。
時間を管理する方法
ポモドーロ・テクニック
25分作業に集中し、5分休憩するサイクルを繰り返してみましょう。短い時間で集中することで、タスクへの抵抗感を減らすことができます。
ポモドーロ・テクニックについてはこちらの記事で詳しくまとめています。参考にしてみてください!
細かく期限を設定する
締め切りを細かく設定し、現実感を持たせることでひとつひとつ着実に進めることができます。
例:「来週の月曜日までに完了させる」ではなく、「今日の15時までにここまで進める」と決める。
逆算でスケジュールを立てる
最終の期限から逆算して、達成すべきステップを明確にしましょう。
例:「1日1時間ずつ進めるときちんと間に合わせることができる」と計画を立てる
環境の整備
気が散ってしまう要素を排除する
作業スペースをシンプルにし、スマホやSNSなどの誘惑を避ましょう。
例:スマホを別の部屋に置く、アプリの通知をオフにする
作業環境を快適にする
照明、音楽、椅子などを整え、作業に集中しやすい環境を作ってみましょう。
例:歌詞のない音楽を流す、カフェで作業をする
公共の場を利用する
他人がいる場所で作業をすることで責任感を持つことができます。
例:図書館やコワーキングスペースを利用する。一緒に作業する仲間を作る。
脳の報酬システムを利用する
小さな報酬を設定する
タスクが完了するたびに自分にご褒美を与えましょう。
例:「このタスクが終わったら好きなドラマをみよう」と決める
自分にペナルティを課す
タスクが達成できなかった場合の「罰」を設定してみましょう。
例:「やらなかったら友達に500円払う」と決める
考え方をリフレーミングする
タスクを価値があるものと考える
そのタスクが自分や他人にとってどう役に立つか考えてみましょう。
例:「このプレゼンを頑張ればチーム全体の成果が上がる」など
未来の自分を想像してみる
先延ばしにし続けた場合の自分と、今行動した場合の成功した自分を比較してみましょう。
例:「この仕事を早めに終わらせれば、週末がとても楽になる」など
リフレーミングについてはこちらの記事を参考にしてみてください!
感情に焦点を当ててみる
感情を認識して対処する
なぜタスクを避けているのかを自分に問いかけてみましょう。
例:「難しそうだから避けているのか?」「時間がかかりそうだから嫌なのか?」
短い瞑想やマインドフルネスを取り入れる
作業前に短時間の瞑想やマインドフルネスを行ってみましょう。そうすることでストレスや不安を軽減し、集中力を高めることができます。
瞑想・マインドフルネスについてはこちらで詳しくまとめています。参考にしてみてください!
習慣化する
21日間続けてみる
人は21日間同じ行動を繰り返すことで、意識していた行動が潜在意識になり、定着すると言われています。そのため、小さな行動を毎日繰り返し、先延ばししない行動を習慣化すると良いでしょう。
例:朝一番に「最も重要なタスクを1つ終わらせる」ルーチンを作る。
まとめ
プロクラスティネーションを克服するには、自分に合った方法を試しながら少しずつ改善していくことが大切です。完璧に達成すると考えるのではなく、少しずつ達成していくことを目標にしてみましょう。

miho
今回も人と関わっていくうえで避けることはできない人間関係の悩みを減らすための手助けになる情報をまとめました。他の記事もありますので、あなたが今よりより生きやすくなる手助けになれば嬉しいです!X(Twitter)でお悩みの募集もしています。