行動経済学の「ナッジ理論」って知っていますか?強制せず、さりげなく行動を後押しすることのできるナッジ理論ですが、実は、人間関係でも使うことができるのです。相手に行動を変えてほしい時、ちょっとした工夫で「言葉で言わずに変えてもらう」ことができるのです。このテクニックが使えるようになると、恋愛・友人関係・職場でも、良い関係を築きやすくなります。

miho

この記事は次のような人におすすめです!

  • 指示や説教なしに人間関係を良くしたい人
  • 相手を責めずに行動を変えてほしい人
  • 言いづらいことをうまく伝えたい人

職場や学校、友達関係など、社会の中で生きている限り、人との関わりは避けられません。だからこそ、多くの人が、大なり小なり人間関係の悩みを抱えているのではないでしょうか。
国内で300万部を超えるベストセラー『嫌われる勇気』では、アドラー心理学の考え方として「すべての悩みは対人関係の悩みである」という主張が紹介されています。
このサイトでは、そんな人間関係の悩みを解決するためのヒントをまとめています。
この情報が、あなたの人生を少しでも生きやすくする手助けになれば嬉しいです!

ナッジとは?

ナッジ(nudge)とは、英語で「ひじで軽くつつく」という意味の言葉です。つまり、強制せず、さりげなく行動を後押しするテクニックのことです。
ナッジは、2008年にアメリカのリチャード・セイラー博士とキャス・サンステイン教授が提唱した行動経済学の考え方。行動を変えたい人の「こっちの方がいいよ」とやさしく案内板を出すような工夫です。

ナッジの特徴
  • 命令はしない(選ぶのは本人)
  • でも行動は変わる
  • 嫌な気持ちにならない
  • 環境や見せ方を工夫している

つまり、気づいたらその気になっていたいう自然な誘導なんです。

身近にあるナッジの例

健康ナッジ

  • 階段の手前に「あと〇歩でカロリー消費」表示
    →つい階段を使ってしまう
  • 食堂でサラダを一番目立つところに置く
    →自然と手に取りやすくなる

環境ナッジ

  • トイレにハエの絵が描かれた便器(男性用)
    →狙いが定まり、汚れが減る
  • ゴミ箱を口が開いて笑っているキャラクターにする
    →子供が楽しんでゴミを捨てる

節約ナッジ

  • 電気スイッチの横に地球がにっこりしているマーク
    →無意識に電気を消したくなる
  • 他の家庭と電気量を比べた紙を配布
    →節電しようと思うようになる(これを「社会的証明のナッジ」といいます)

貯金ナッジ

  • 「毎月1万円を将来の自分へプレゼント」キャンペーン
    損ではなく、ご褒美と感じさせる
  • 貯金箱のふたに「毎日〇円を溜めると、5年後に〇〇円になる」と書いてある
    未来の自分を想像して溜めやすくなる

人間関係でも活用できる!

ナッジは「操作」や「ごまかし」ではありません。人間の心理には楽な方を選びたくなるというクセがあります。
そのクセを優しく利用して、後悔しない選択を応援するのがナッジです。

行動経済学の話は難しそうに聞こえますが、実は人との関わりの中でも使えるんです。例えば、「パートナーに優しくしてほしい」「友達にもっと連絡してほしい」というような願いにも、ナッジの考え方が役立ちます。

今回は、恋愛・友人・職場の3つのシーン別で詳しく紹介します!

人間関係とナッジ理論

ナッジ理論は「健康」や「環境」だけの話ではありません。実は、人と人との関係の中でもさりげなく相手の行動を変えるのに役立ちます。たとえば

  • 怒らずに、恋人に優しくしてもらいたい
  • 言いづらいけど、友達にドタキャンをやめてほしい
  • 後輩にサボらずに仕事してほしい

こんなとき、「ちゃんと言わなきゃ」と思っても、うまく言えなかったり、言ったら逆に角が立ってしまったりしますよね。
でも、ナッジを使えば、言わなくても伝わる方法があるんです。

人間関係の「ナッジ」ってどんなもの?

簡単に言うと、相手が自然としたくなるような「しかけ」をつくることです。

恋愛での例:返信が遅い恋人

  • ナッジ:「返信しやすい時間帯に短めのLINEを送る」
    →プレッシャーをかけず、気軽に返せるようにする
    →「返そうかな」と思う心理を作る

友人関係での例:ドタキャン&遅刻魔の子

  • ナッジ:「お店予約したから楽しみにしてるね!」と伝える
    →キャンセルしにくい状況を自然に作る
    →でも選択肢は残ってる(強制じゃない)

職場での例:やる気がない後輩

  • ナッジ:「10分だけ一緒にやってみようか」
    →面倒な作業をちょっとだけの行動に変えてあげる
    →ハードルが下がると、やる気も起きやすくなる

ナッジを人間関係で使うと、

  • 相手を責めない
  • 指示や説教にならない
  • 選択をゆだねる

という大人のコミュニケーションが出来るようになります。

ナッジにはやさしさが大事

ナッジがうまくいくためには、「相手との信頼関係」や「思いやり」がベースにあることが大前提です。
つまり、「相手のためを思って仕掛ける」こと。もし、コントロールしたり、自分の思い通りにしたいだけだと、相手に見透かされてしまって逆効果になることも。
人間関係は、言葉だけじゃうまくいかないことも多いもの。だからこど、行動を後押しする工夫が大切です。ナッジは言わずに伝えるテクニックとして、あなたの人間関係をちょっと楽にしてくれるかもしれません。

シーン別!人間関係ナッジのコツを具体的に

人は「これをして!」と命令されると反発したくなるもの。でもちょっとした環境や言い方の工夫で、相手の行動は自然に変わります。

恋愛:感謝を伝えない恋人

よくある悩み

「プレゼントしても、何にも言ってくれない…」
「してあげたことに感謝されないと虚しい…」

ナッジの工夫
  • 自分が先に「ありがとう」を伝える(感謝のモデリング)
  • 「この前、〇〇してくれたのが嬉しかったな」と具体的に伝える
  • 「こういうのってとっても嬉しい」とポジティブな感情を共有する習慣をつくる
ナッジのねらい
  • 感謝って良いなと思ってもらう
  • 真似したくなる雰囲気をつくる(社会的模倣)

「この前〇〇してくれたの、本当に助かった!ありがとう。」と伝えると、相手も感謝を伝えやすい環境になります。

友人関係:お金にルーズな友達

よくある悩み

「毎回立て替えてるのに、忘れられる…」
「細かいお金の話をすると気まずくなる…」

ナッジの工夫
  • 送金アプリ(PayPayなど)のリンクを自然に送る
  • 「まとめて払っておいたから、楽だったよ~」と明るく伝える
  • 事前に「今回は割り勘アプリを使おう~」と環境を整える
ナッジのねらい
  • 「割り勘=当たり前」「支払い=簡単」の雰囲気をつくると相手も自然と払いやすくなる

「まとめて払っておいたよ~」と送金リンクを送ると、自然とその場で払う流れになります。

職場:アイデアを出さない同僚

よくある悩み

「会議でいつも黙っている」
「案が出ないからなかなか先に進まない」

ナッジの工夫
  • 会議前に「こんなこと考えてみたんだけど、どう思う?」と個別に話を振る
  • 「〇〇さんの視点っていつも面白いから聞きたいな」と興味を示す
  • 全員にポストイットに書いてもらうなど、発言以外の形でアイデアを募る
ナッジのねらい
  • 安心して発言できる場を先に作る
  • 「意見を出すのが怖くない」状態を整える

「この前のアイデア、意外だったけど面白かった!」などと伝えることで、相手の発言ハードルが下がります。

ナッジを使うときのポイント3つ

ナッジはとても便利なコミュニケーションツールですが、使い方を間違えると逆効果になってしまうことも。相手の行動をやさしく後押しするためのポイントを紹介します。

1.押し付けない:あくまで「そっと」が基本

ナッジは、「そっと背中を押す」ことが目的。強く引っ張ったり、正解を決めつけるのはナッジではなくコントロールになってしまいます。

NGな例
  • 「こっちが正しいんだから、こうしてよ」
  • 「普通こうするでしょ?」

→相手の反発心を生むだけ

OKな例
  • 「これもアリかなと思ったんだけど、どうかな?」
  • 「こっちはこういう良さがあるね」

→相手に選ぶ自由を残すのが大切

2.仕掛けは「環境」にいれる

ナッジは言葉だけでなく環境そのものを工夫することでより効果的になります。

例えば
  • 朝が苦手な恋人には、待ち合わせ時間を昼にする
  • 会議で意見を出しづらい人には、発言より書いて出す場を用意
  • 忘れ物が多い子どもには、玄関にチェックリストを貼っておく

→「自然とそうしちゃう環境」を作ると、無理なく行動が変わります

3.「相手のため」が伝わるようにする

ナッジは「優しい配慮」であって、「自分の思い通りにする道具」ではありません。思いやりの気持ちがないナッジ=ただの操作になりがちです。

NGな例
  • 自分が得したいから仕掛ける
  • 相手を自分のペースに合わせたいだけ
OKな例
  • 相手が困らないように
  • 二人の関係がスムーズになるように
  • 相手に気持ちよく行動してもらえるように

→「相手のことを考えて工夫したんだな」と感じてもらえれば、信頼も深まります。

注意!ナッジが逆効果になるとき

ナッジは基本的にやさしい手法ですが、やり方を間違えるとかえって相手を不快にさせてしまうことがあります。

1.コントロールされていると気づかれたとき

ナッジは気付かれないくらい自然が理想です。でも、仕掛けがばれると、「なんか操作されてたみたい…」「自分の思い通りにさせようとしてた?」と信用を失う可能性も
→相手が敏感なタイプや、自由を大事にする性格なら慎重にしましょう。

2.関係性ができていない相手に使ったとき

信頼関係が薄いと、どんなナッジでも「え、なにこの人…」と警戒されてしまうこともあります。
たとえば、まだ仲良くない同僚にいきなり環境を変えるようなナッジをすると、「なんかやりにくくなったな」と距離を置かれてしまうことも。
→ナッジは信頼ありきのテクニックです。

3.相手に選択肢がなかったとき

ナッジは「選ぶ自由」を前提にしています。でも、仕掛け方によっては実質的に選ばせていないケースもあります。

NGな例

「今日のご飯、パスタかオムライス、どっちがいい?」(どちらも自分の好物)→もう選択肢が自分の思い通りになっている
→本当のナッジは「どれもいいけど、ちょっとこれに目が行くな」くらいの自然さです。

4.悪用してしまうとき

  • デートに誘いたいがために「みんな来るよ」と嘘をつく
  • 断れない雰囲気で仕事を押し付ける

これはもうナッジではなく、誘導や強制です。
「やさしさ」が感じられないときは、ナッジではなくなるのです。

まとめ

ナッジは「言わずに伝える」「押さずに導く」「いやな思いをせずに行動を変える」やさしい心理テクニックです。人の心は、ちょっとしたきっかけで自然に動き出すもの。ナッジは、そんな「やさしいきっかけ」をつくるための小さな魔法です。あなたもぜひ、今日からこっそり使ってみてください!

miho

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