私たちは普段、自分の考えや行動を意識せずに過ごしていることが多いものです。そんな時「なぜ私はこの選択をしたのか?」「本当にこの考えは正しいのか?」と自分の思考パターンや行動を冷静に分析することができると、より良い判断ができると言われています。このように自分の思考や感情を客観的に見つめる力を「メタ認知」といいます。このメタ認知は人間関係を円滑にするうえでも重要です。では、どうすればこの「メタ認知力」を鍛えることができるのでしょうか?メリットやトレーニング方法を紹介します。

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この記事は次のような人におすすめです!

  • メタ認知とはどのようなものなのか知りたい
  • 人間関係でのトラブルや誤った判断、ストレスをなくしたい
  • 仕事・勉強の効率を向上させたい
  • 自分を成長させる方法を知りたい
  • バイアスを減らして冷静な判断が出来るようになりたい
  • 自分のことを詳しく理解したい
  • ストレスを感じやすい性格を変えたい

職場や学校、友達同士など、この社会の中で生きている限り、人との関わりは必要不可欠ですよね。それゆえにどんな人でも、大なり小なり人間関係の悩みを抱えているのではないでしょうか。国内の発行部数が300万部を超える「嫌われる勇気」でも「すべての悩みは対人関係の悩みである」というアドラーの教えが出てきます。ここではそんな人間関係の悩みに関する情報をまとめています。より生きやすくなる手助けができれば嬉しいです!

メタ認知とは「自分の考えを考える力」

メタ認知とは、自分の考えや感情、行動を客観的に観察し、コントロールする力のことです。
例えば、試験勉強をしているときに、「この範囲は本当に理解できているかな?」「この勉強法はほんとに自分にあっているかな?」と自分の学習状況を振り返ることは、メタ認知の一例です。

具体例

①友達にそっけない態度を取られた時①友達にそっけない態度を取られた時

メタ認知が弱い場合

メタ認知が弱い人

自分が嫌われたんだ…もう仲良くできない

メタ認知が強い場合

メタ認知が強い人

もしかすると、相手は仕事で疲れているのかも?また別の機会に話してみよう。

②上司に厳しい指摘を受けた時

メタ認知が弱い場合

メタ認知が弱い人

怒られた…自分はダメなやつだ…

メタ認知が強い場合

メタ認知が強い人

そのくらい相手も真剣なんだな。どの部分が改善できるのか考えよう!

このように、メタ認知が高いほど、思い込みに流されず、自分と他者を冷静に分析できます。

メタ認知が低いとこんなデメリットが

1,感情に振り回されやすくなる

メタ認知が低いと、自分の感情を客観視するのが苦手になります。例えば、怒りや悲しみを感じたときに、そのまま感情のままに行動してしまい、後で後悔することが増えます。

2,思い込みや偏見にとらわれやすい

「自分の考えは絶対に正しい」と思い込みやすく、他人の意見を受け入れにくくなります。また、偏った情報を信じやすく、自分の価値観の枠から抜け出せなくなることもあります。

3,人間関係で誤解やトラブルが増える

相手の言動を深く考えずに「嫌われた」と決めつけたり、「こういう人に違いない」と思い込んだりしがちです。その結果、すれ違いや衝突が増え、対人関係がぎくしゃくしてしまいます。

4,失敗の原因が分析できず、同じミスを繰り返す

何かうまくいかなかったときに、「自分はダメだ」と思い込んでしまい、冷静に原因を分析することができません。そのため、解決策が見つけられず、同じ失敗を繰り返してしまうことがあります。

5,学習や仕事の効率が悪くなる

「本当に理解できているのか?」と振り返る習慣がないため、間違った勉強法を続けてしまうことがあります。また、仕事でも「もっと良いやり方があるかもしれない」と考えず、非効率的なやり方を続けてしまうことがあります。

6,衝動的な行動を取りやすくなる

考える前に行動してしまい、後から「あの時、もっと考えればよかった」と後悔することが増えます。たとえば、カッとなって相手を責めてしまったり、勢いで退職してしまったりするなど、長期的に見て損をする決断をしがちです。

7,ストレスを溜めやすく、心が疲れやすい

自分の思考や感情のパターンを客観視できないため、「なぜこんなにイライラするのか」「なぜ気分が落ち込むのか」が分からず、ストレスが蓄積しやすくなります。結果として、精神的に疲れやすくなり、モチベーションが低下することもあります。

このように、メタ認知が低いと、自分自身の行動や感情を客観的に振り返ることが難しくなり、結果的に「人間関係」・「学習、仕事」・「精神的な健康」など、様々な面で悪影響を及ぼしてしまいます。

メタ認知を鍛えるメリット(人間関係・仕事・精神的な健康など)

1、感情に振り回されず、冷静な判断ができる

メタ認知が高いと、「今、自分は怒りや不安の感情に支配されているな」と気づき、感情に流される前に一歩引いて考えることができます。衝動的な判断を避け、長期的にメリットのある選択がしやすくなります。

例:仕事でミスをしたとき

メタ認知が低い場合:「もうだめだ…自分は無能だ」とネガティブな感情に支配される。
メタ認知が高い場合:「なぜこのミスが起こったんだろう。どうすれば防げるかな?」と冷静に分析し、次に活かせる。

2,思い込みやバイアスを減らし、柔軟な思考ができる

人間の思考には「確証バイアス」や「感情バイアス」など、さまざまな偏りが存在します。メタ認知が高いと、「自分は本当に正しく考えられているのか?」「他の可能性はないか?」と問い直す習慣がつき、偏った見方を避けることができます。

例:「Aさんは冷たい人だ」と感じたとき

メタ認知が低い場合:「やっぱりAさんは私のことが嫌いなんだ」と決めつける(確証バイアス)
メタ認知が高い場合:「もしかしたら、Aさんは忙しくて余裕がないのかも?」と別の可能性を考えられる

3,人間関係が円滑になる

メタ認知が低いと、「この人はこういう性格だ」と早合点し、ステレオタイプのバイアスに囚われがちです。しかし、メタ認知を鍛えると、相手の行動の背景を冷静に考えられるようになり、誤解やすれちがいを減らすことができます。

例:友達にそっけない態度をとられたとき

メタ認知が低い場合:「私が何かしたのかな?」と不安になり、関係がギクシャクする
メタ認知が高い場合:「もしかすると、疲れているのかも?後で落ち着いて話してみよう」と冷静に対処できる

4,失敗を成長に繋げられる

メタ認知が高いと、「なぜ失敗したのか?」「次はどうすればいいのか?」と振り返る習慣がつきます。そのため、失敗をただの挫折と捉えるのではなく、次に活かせる経験として前向きに捉えることができます。

例:仕事で失敗したとき

メタ認知が低い場合:「自分はこの仕事に向いてないのかも…」と落ち込むだけ
メタ認知が高い場合:「準備不足だったのかもしれない」「次は失敗しないように改善策を考えよう」と考えられる

5,学習や仕事の効率が向上する

「自分は本当に理解できているのか?」「この方法は効率的か?」と考える習慣がつくため、勉強や仕事のやり方を改善し、効率的に成果を出せるようになります。

例:勉強するとき

メタ認知が低い場合:「とにかく暗記すればいい」と考え、非効率的な学習を続ける
メタ認知が高い場合:「ちゃんと自分にあった方法で出来ているか?」「テスト前に復習しやすい形に整理しよう」などと工夫できる

6,ストレスを減らし、メンタルが安定する

自分の思考や感情のパターンを理解することで、「なぜ今こんなにイライラしているのか」「どうすれば気持ちを落ち着けられるのか」と冷静に対処できるようになります。その結果、ストレスを溜めにくくなり、精神的に安定しやすくなります。

例:仕事でミスをしたとき

メタ認知が低い場合:「自分はダメだ…」と過度に落ち込む
メタ認知が高い場合:「ミスしたのは事実。でも、同じ失敗をしないためにはどうすればいい?」と前向きに考えられる

メタ認知を鍛える方法8選

1,本を読んで自分の考えを振り返る

読書をすると、自分とは違う考え方や価値観に触れることができます。特に、自分が持っている先入観やバイアスとは異なる視点を知ることで、「本当に自分の考えは正しいのか?」を問い直す習慣がつきます。

例:・フィクションを読むと「この登場人物の考え方、自分と違うな。でも、なぜそう考えるんだろう」と視点を広げられる
・ミステリー小説を読むと「この人はなぜこう行動したのか?」と心理を分析するクセがつく

「この本は面白かった」で終わらせず、「なぜ面白かったのか?」を考えたり、自分の思考と本の内容を比較し、変化した点を確認することで、より効率的にメタ認知力を高めることができます。

2,ジャーナリング(思考の書き出し)をする

自分の考えや感情を紙に書き出すことで、客観的に振り返る習慣をつける方法です。一日の終わりに「今日、どんなことを考えたか」「どんな感情が沸いたか」を文法や内容の正しさなどは考えず書き出しましょう。特にネガティブな出来事があったときは、「なぜそう感じたのか?」を深掘りして書くと効果的です。

例:「Aさんに冷たくされた。やっぱり嫌われているんだ。」→「でも本当にそうだったのかな?Aさんが冷たかったのは、自分が何かしたからだろうか?それとも、Aさん自身の問題かもしれない」

ジャーナリングを行うことで以下の効果を期待できます。

  • 本当にそうなのか?と問い直すことで、バイアスを見つける
  • 第三者の視点で、自分の考えを分析する

3,「メタ認知質問」を習慣にする

日常の出来事を振り返るときに、以下のような質問を自分に投げかけると、メタ認知が鍛えられます。

質問の例
  • 「今、自分はどんな感情になっている?」(感情の可視化)
  • 「なぜ自分はそう思ったのか?」(思考の振り返り)
  • 「これは本当に正しい判断か?ベルの見方はある?」(バイアスがかかっていないか)
  • 「もし他の人がこの状況を見たら、どう感じる?」(客観的視点)
  • 「この考え方は自分にとってプラスになる?」(思考の最適化)

この様な質問を習慣化することで、自分の思考や行動に意識的になり、無意識のバイアスを減らすことができます

4,セルフトークを意識的に変える

私たちは日常的に、頭の中で「セルフトーク(自己対話)」をしています。このセルフトークを客観的に見直すことで、メタ認知を鍛えることができます。自分の思考を一歩引いて観察し、ネガティブなセルフトークをしていることに気がついたら、「本当にそうなのか?」と問い直し、第三者のように、自分にアドバイスしてみましょう

例:「プレゼンがうまくいかなかった…自分はダメだ。」と考えていることに気がついたら、「プレゼンはどの部分が良くなかった?次にどう改善できる?」と問い直してみる。

5,認知行動療法的アプローチを試す

認知行動療法では、思考の歪みを見つけ、修正することを目的としています。これを日常生活に活用すると、メタ認知が鍛えられます。

  • ネガティブな出来事や感情が沸いたとき、それを記録する
  • 「なぜそう思ったのか?」を分析する(バイアスに気付く)
  • 「他に見方はないか?」と視点を増やす
  • 「次に同じ状況になったらどう対応する?」と考える

例:「上司にきつく指摘された…自分は仕事ができないんだ。」 「上司は仕事の質を上げるために指摘しただけかもしれない。次はどう改善しよう?」

このように、考え方の癖を修正することで、思考が柔軟になり、感情に振り回されにくくなります。

6,マインドフルネス・瞑想を取り入れる

マインドフルネスは、「今この瞬間の自分の思考や感情を観察する」ことを目的とした瞑想です。これを習慣にすると、思考を客観的に捉える力がつき、メタ認知が向上します。

  • 1日5~10分、静かな場所で座り、呼吸に意識を向ける
  • 「今、自分はどんな思考や感情を抱いているか?」を観察する
  • それらを「良い・悪い」と判断せず、ただ見つめる

日常生活の中で簡単に行うことのできる方法もあります。こちらの記事で詳しく説明しています

マインドフルネスを行うことで以下の効果が期待できます。

  • 自分の思考を冷静に観察する力が身につく
  • 感情に流されるのを防ぎ、落ち着いて判断できるようになる

7,フィードバックを積極的に活用する

メタ認知が高い人は、「自分がどう見えているか?」を正しく理解する力があります。そのため、他者からのフィードバックを受け入れ、自己評価を調整することが重要です。

  • 仕事や人間関係で、信頼できる人に「自分の〇〇についてどう思う?」と聞く
  • フィードバックを受けたら、感情的にならず「客観的な視点」として受け入れる
  • 「自分が思っている自分」と「他人が見ている自分」にギャップがないか確認する

8,「他人の視点で考える」習慣をつける

メタ認知が低いと、どうしても「自分の視点」だけで物事を考えてしまいます。しかし、他人の視点を意識すると、思考の幅が広がり、バイアスに気付きやすくなります

  • 「もし自分が〇〇さんの立場だったらどう感じる?」と考える
  • 相手の発言や行動を「別の解釈」で考えてみる
  • 友人や同僚に「自分だったらどうする?」と聞いてみる

例:✕「上司が厳しいのは、私のことが嫌いだからだ。」 〇「上司の立場なら、なぜこの指摘をするのか?」

まとめ

メタ認知を鍛えることで自己理解が深まり、人間関係や仕事、学習の効率が向上したり、ストレス管理ができたりなどたくさんのメリットを紹介しました。メタ認知はすぐに身につくものではありません。しかし、今回紹介した鍛え方はすべて日常生活のなかで出来るものなので、習慣づけることで無理なく徐々に高めていくことができます。メタ認知を鍛え、感情やバイアスに流されず、より賢く、よりしなやかに生きていきましょう。

miho

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