複数の作業をしながら周りのことも気に掛けることができるような「マルチタスクな人」はなんだか仕事ができるイメージがあります。そんなマルチタスクが当たり前の現代ですが、実は生産性が下がったり、ストレスが増加したりなどたくさんのデメリットが。そんなマルチタスクのデメリットと、作業効率や生活の質を上げるシングルタスクの方法についてまとめました。

miho

この記事は次のような人におすすめです!

  • マルチタスクにはどのようなデメリットがあるのか知りたい
  • 人類が進化していく中でなぜマルチタスクが必要だったのか知りたい
  • マルチタスクをやめてシングルタスクに切り替える方法が気になる

職場や学校、友達同士など、この社会の中で生きている限り、人との関わりは必要不可欠ですよね。それゆえにどんな人でも、大なり小なり人間関係の悩みを抱えているのではないでしょうか。国内の発行部数が300万部を超える「嫌われる勇気」でも「すべての悩みは対人関係の悩みである」というアドラーの教えが出てきます。ここではそんな人間関係の悩みに関する情報をまとめています。より生きやすくなる手助けができれば嬉しいです!

マルチタスクのデメリットは?

脳は同時に複数の作業を処理できない

脳は「並列処理」ではなく、「切り替え処理」をしています。一度に複数のことをこなそうとすると、タスク間で注意を切り替える時間(スイッチングコスト)が発生します。このコストにより

  • 作業効率が低下する
  • ミスが増える
  • 時間が余計にかかる

などの問題が生じます。

集中力が分散する

マルチタスクをすると、一つの作業に十分な集中力を注げません。これにより、

  • 作業の質が下がる
  • 新しい情報の記憶力が低下する
  • 創造的な発想がしにくくなる

などの影響がでます。

ストレスが増える

マルチタスクは脳に負担をかけ、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を増加させます。また、複数のタスクに常に追われることで、

  • 焦りや不安感:やるべきことが多いように感じるため、常に追われているような感覚が強まる
  • 慢性的な疲労感:休む暇がない感覚が心理的疲労を引き起こす

などの影響がでます。

達成感の減少

マルチタスクは「今この瞬間」に集中する能力を妨げます。結果として、

  • 注意散漫な状態になり、一つのことに没頭できなくなる
  • 達成感や満足感が得にくい

などの状態に陥りやすくなります。

生産性が下がる

スタンフォード大学の研究によれば、マルチタスクに慣れている人ほど、注意力や記憶力、切り替え能力が低下していることが指摘されています。一つの作業に集中した方が、より短期間で高い成果を上げられるのです。

自尊心や自己効力感の低下

マルチタスクでミスや失敗が増えると、「自分はダメだ」「うまくいかない」と感じやすくなります。その結果、

  • 自己否定感:仕事や生活の質が低下し、自信を失う
  • モチベーションの低下:達成感を感じられず、やる気がなくなる

などの心理的問題が起こることがあります。

人間関係への悪影響

マルチタスクが習慣化されてしまうと、他人とのコミュニケーションが疎かになることがあります。例えば、

  • 話を聞いていない印象を与える:会話中にスマホを見たり別の作業をしたりすると相手に無関心だと思われる
  • 共感力の低下:他人の気持ちに注意を払えなくなり、人間関係がぎくしゃくする

などの影響があります。

何も考えたくなくなる(オーバーロード)

マルチタスクを続けると、脳が情報処理の限界に達し、「もう何も考えたくない」という状態になることがあります。これにより、

  • 燃え尽き症候群:長期的に心身が疲れ果てて、回復が難しくなる
  • 意志力の低下:決断力や問題解決能力が著しく落ちる

などの状態に陥ってしまうことも。

幸福感の低下

マルチタスクはひとつひとつのタスクに対する集中力が低下するため、

  • マインドフルネスの欠如:現在の瞬間を楽しめず、未来の不安や過去の失敗に意識が向きがちになる
  • 満足感の喪失:一つ一つのタスクを丁寧に行うことで得られるはずの喜びが薄れる

などの影響があります。

マルチタスクと人類の進化

狩猟採集時代はマルチタスク能力が重要だった?

進化の過程で人間が環境に適応する中で、複数のことに注意を払う能力が重要だった時代がありました。特に狩猟採集時代には、周囲の危険を察知しながら獲物を狙うといった状況が日常的でした。このような状況では、マルチタスク的な注意分散がとても重要でした。

狩猟採集時代に必要だったマルチタスクな能力

  • 常に周囲を監視する
    狩りをしながらも周囲の危険(捕食者や敵)に注意を向ける必要がありました。このような注意分散能力は、生存に直結する重要なスキルでした。
  • 情報を統合する
    もちろん狩猟採集時代にはスマートフォンもなければ天気予報氏もいないため、獲物の動き、天候、地形、仲間の位置など、多くの要素を同時に把握しながら行動する必要がありました。
  • 団結力が命にかかわる
    チームで狩りを行う場合、個々が自分の役割に集中しながらも、仲間の動きや状況を把握する必要がありました。

マルチタスクは現代には適応しにくい

現代との違い

  • 注意の質が異なる
    狩猟時代の注意分散は「危険を察知する」や「狩りを成功させる」という本能的な目的に基づくものでした。一方、現代のマルチタスクは、スマホやテレビ、仕事など情報過多の中でのタスク切り替えが中心で、進化的に適応してきたものとは違う環境です。
  • 脳への負担が増加している
    狩猟時代のタスクは主に身体的・空間的な要素が多かったのに対し、現代ではデジタル情報や抽象的なタスクが多いため、脳に過剰な負荷がかかりやすいです。
  • 持続的なマルチタスク
    狩猟採集では短期的な注意分散が多く、重要な瞬間に集中することが可能でしたが、現代では長時間マルチタスクを続けることが多く、疲労や注意力低下が生じやすいです。

なんで現代ではマルチタスクによる悪影響が多いの?

  • 情報量が過剰:スマートフォンやパソコンの普及やSNSによる情報が進化の想定を超えています
  • 持続的な負担:長時間マルチタスクを行うことが脳のエネルギーを消耗させます
  • 重要度の低い刺激が多い:狩猟時代の危険察知とは異なり、現代では本質的に重要でない通知やメッセージにも注意を奪われることが多いです

マルチタスクを減らす方法7選

1,優先順位を明確にする

マルチタスクをしてしまう原因の一つは、「どれを先にやればいいか迷う」ことです。タスクに優先順位をつけ、取り組むべきことを明確にしてみましょう。
例:①朝、1日の「最優先タスク」を3つ書き出す。
②1つ目を終えてから次に進むルールを作る。
「すべてを同時に終わらせる必要はない」ことを意識しましょう

2,マルチタスクのトリガーを減らす

日常でついマルチタスクをしてしまう場面を特定し、その原因を取り除く工夫をします。

  • 通知をオフにする:スマホやPCの通知音やバナーがあると、注意が奪われます。必要な時だけ通知をオンにするようにしましょう。
  • 作業環境を整える:テレビやスマホが目に入らない場所で作業や食事をする。
  • タスクスケジュールを分ける:一度に一つの作業に集中できるように、あらかじめスケジュールを決める。

3,マインドフルネスを取り入れる

「今この瞬間に集中する」ことを意識する練習をします。これはマルチタスクをやめるためにとても強力な方法になります。
簡単な方法の例

  • 食事中は、味や香り、食感に意識を集中する。
  • 呼吸を意識して深呼吸を数回行う。
  • 一つの作業中に「今この作業に集中している」と自分に言い聞かせる

|おすすめ|4,ポモドーロテクニックを使う

短時間の集中と休憩を繰り返すことで、シングルタスクを習慣化します。
やり方

  • やるべきタスクに優先順位をつける
  • 25分間に1つのタスクだけに集中する
  • 途中で他のことを思いついたら、簡単にメモをしてすぐ元の作業に戻る
  • 5分休憩を取る
  • 4セット繰り返したら15~30分の長めの休憩を取る。

詳しい方法やメリット、おすすめのアプリはこちらの記事で紹介しています

5,マルチタスクのメリットを疑う

「マルチタスクは効率的」というイメージが誤解であることを理解することが重要です。

  • マルチタスクでは、1つのタスクを完了する時間が余計にかかることが科学的に証明されています。
  • シングルタスクで進める方が結果的に早く、正確にタスクを終えられます。

1日だけ、シングルタスクを意識して過ごして、マルチタスクとの違いを確かめるなど、体感することのできる実験を行うのもおすすめです。

6,少しずつ実践する

マルチタスクをいきなり完全にやめようとするとストレスになります。小さなステップで少しずつ減らしてみましょう。例えば、

  • 食事中はテレビを見ずに過ごす時間を10分だけ作る。
  • スマホを見る時間を決め、作業中は触らないルールを作る。

1日の終わりに「今日はシングルタスクをどのくらいで来たか」を振り返ってみましょう。

シングルタスクの楽しさを知る

一つの作業に集中すると、達成感や満足感が増え、心が落ち着くことが実感できます。

  • 食事中に味を楽しむことで満足感が増える
  • 作業を1つ終えた時に達成感や充実感を味わう

まとめ

効率的に思われがちなマルチタスクには実は多くのデメリットがあり、シングルタスクの方が生産性が高いというのは意外に思われる人も多かったのではないでしょうか。マルチタスクをやめるためには、少しずつ習慣を変えることが重要です。完璧を目指さず、シングルタスクの心地よさに触れることで少しずつ体や心の負担を減らしていきましょう。

miho

今回も人と関わっていくうえで避けることはできない人間関係の悩みを減らすための手助けになる情報をまとめました。他の記事もありますので、あなたが今よりより生きやすくなる手助けになれば嬉しいです!X(Twitter)でお悩みの募集もしています。

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