人と話したり、会ったりすることが苦手という人はとても多いです。特に、自分に対しての評価が厳しく、「完璧にやらなければいけない」という考えになりがちな完璧主義の人は話すときにプレッシャーを感じたり、話した後に過剰に自己批判をしてしまいます。これの度が過ぎると、震えが止まらなくなったり、吐き気や目まいがしたりなどの社会不安障害が現れることも。

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この記事は次のような人におすすめです!
- 人と話すのが怖く、苦手意識を持っている
- なぜ人と話すことが怖くなってしまうのか知りたい
- 社会不安障害はどのようなものがあるのか知りたい
- 日常生活の中で克服に繋がる方法を知りたい
職場や学校、友達同士など、この社会の中で生きている限り、人との関わりは必要不可欠ですよね。それゆえにどんな人でも、大なり小なり人間関係の悩みを抱えているのではないでしょうか。国内の発行部数が300万部を超える「嫌われる勇気」でも「すべての悩みは対人関係の悩みである」というアドラーの教えが出てきます。ここではそんな人間関係の悩みに関する情報をまとめています。より生きやすくなる手助けができれば嬉しいです!
人と話すことに恐怖や苦手意識を感じるのはなぜ?

過去のトラウマと自己評価
過去の経験が影響している
子どもの頃や過去のトラウマ的な出来事が原因になることがあります。「また失敗するかもしれない」「笑われたらどうしよう」と考え、不安を感じるようになります。
例:人前で失敗した経験(発表で笑われた、言葉が詰まった、言い間違いをしてしまったなど)、
批判や否定を受けた経験(「何を言ってるの?」「もっとちゃんと話しなさい」と言われたなど)
自己評価が低い
自分に対する評価が低いと、「どうせ自分なんて…」という思考が強まり、話す前から恐怖を感じることがあります。
「うまく話さなきゃ」「変に思われたらどうしよう」というプレッシャーが、不安を助長します。
他人の視線に敏感な日本人
他者の視線や評価に敏感になっている
「相手が自分をどう思っているか」に過剰に意識が向いてしまうことがあります。
「失礼なことを言ったら嫌われるかもしれない」「つまらない人だと思われるかも」と考えてしまうことで、話すこと自体が怖くなってしまいます。
文化的な背景
日本では、他人との調和や礼儀を重視される傾向があります。
そのため、「失敗できない」「迷惑をかけてはいけない」といったプレッシャーを感じやすい環境があります。
脳や神経の働き
不安を感じやすい体質
脳内のセロトニンという物質のバランスが崩れると、不安が高まりやすくなります。また、緊張すると、心拍数が上がったり、手が震えたりします。これがさらに「緊張しているのがバレたらどうしよう」という不安を生み出します。
話すときに汗をかいたり、手が震えたりすると、「相手にどう思われるか」を考えてしまうため、不安がさらに大きくなってしまいます。
ネガティブな思い込みをしている
無意識にネガティブな思考をする
自分でも気が付かないうちに、「自動的なネガティブ思考」が働いていることがあります。こうしたが繰り返されることで、人と話すこと自体に恐怖を感じるようになります。
例えば、「うまく話せなかったら嫌われる」「話していても相手は楽しんでいないに違いない」「自分の言葉なんて価値がない」という思考をしている可能性があります。
完璧主義の人は、話した後にも辛い気持ちが残ってしまう
完璧主義の人の話すことへの恐怖
完璧主義の人は「絶対に間違えたくない」「相手に完璧な印象を与えたい」「言葉遣いや内容がすべて正確でなければいけない」というような考えに縛られ、少しのミスも許せなくなってしまいます。そのため、話す前から不安が高まります。また「万が一ミスをしたら自分の価値が下がる」という思いが、さらに恐怖を強化します。
話した後の過剰な自己批判
完璧主義の人は話した後も「もっとうまく話せばよかった」「あの言葉を使うべきではなかった」「相手はきっとつまらないと思っただろう」と脳内でひたすら反省会をしてしまいます。こうした過剰な自己批判は、次に話すときの恐怖心を増幅させ、「もう話したくない」という感情に繋がります。
「理想の自分」と「現実の自分」のギャップ
完璧主義による「理想の自分」と「現実の自分」のギャップが、社会不安障害を引き起こしたり、悪化させたりすることがあります。理想の自分は「失敗しない」「どんな場面でも的確に話せる」自分でも、現実の自分は「緊張してうまく話せない」「言葉に詰まる」ということがあります。このギャップを許せないと感じることで、失敗への恐怖が強まり、人と話すことを避けるようになります。そして避けることで成功体験が積めず、自己評価がさらに下がるという悪循環に陥ります。
相手の期待に敏感
完璧主義は自分ではなく、他人の期待を満たそうとする意識が強いことに由来する場合があります。「相手に悪く思われたくない」「失敗したら自分の評価が下がる」「期待を裏切ってはいけない」という思考から、話す場面で過度に緊張し、「失敗しないこと」が目的になり、自然な会話が難しくなります。
社会不安障害にはどのようなものがある?

心理状況
- 極度の緊張や恐怖
他人に評価される場面で強い不安を感じる - 自己意識の過剰な高まり
自分が注目されている、批判されていると感じる - 失敗への恐れ
「間違ったらどうしよう」「恥をかいたらどうしよう」という強い恐怖 - 回避行動
怖い場面や状況を避ける(例:会議を欠席する、人と話すのを避ける)
社会不安障害の具体例
他人の視線や評価
- 視線恐怖:他人の視線を以上に恐れる。
例:「自分がどう見られているか」を過剰に意識し、他人の視線を避ける - 注目恐怖:自分が注目される場面に耐えられない。
例:誕生日会で祝われるのが苦痛、発表やスピーチが極端に怖い、声が震えたりめまいがする、言葉が発せられなくなる - 表情恐怖:自分の表情が相手にどう見られているかを恐れる。
例:「表情が変だ」「笑顔が変だ」と思い込み、顔を見せるのが苦痛 - 他者評価恐怖:他人に評価される場面での不安。
例:テストやプレゼン、会など、失敗が許されない状況が怖い
人前での行動
- 食事恐怖:人前で食べることを恐れる。
例:「食べ方が変だと思われる」「食べるとき音がなってしまったらどうしよう」と感じる - 書字恐怖:人前で字を書くことへの恐怖。
例:会議中のホワイトボード書き、署名時に手が震えるのを恐れる - 歩行恐怖:他人に見られながら歩くことが苦痛。
例:「歩き方が変だと思われたらどうしよう」と考え、人混みを避ける - 集団行動恐怖:グループで行動するときに周囲と自分を比較して不安を感じる。
例:チームプレイや会話の輪に入るのが怖い
人との会話
- 発言恐怖:人前で話すことを恐れる。
例:会議で発言できず、手を挙げるのも怖い - 電話恐怖:電話をかける・受けることが苦痛。
例:「言葉に詰まったらどうしよう」「相手に失礼だと思われるかも」と感じる - 初対面恐怖:初対面の人と話すことを避ける。
例:自己紹介や名刺公開が極端に苦手 - 声震え恐怖:話すときに声が震えることを恐れる。
例:「緊張がばれたら恥ずかしい」と考え、話すのを避ける - 口臭恐怖:自分の口臭が相手に迷惑をかけると恐れる。
例:人と至近距離で話すことを極端に嫌う
外見や身体的な特徴
- 赤面恐怖:顔が赤くなることを過剰に気にする。顔色について指摘された経験が影響していることも。
例:「赤面が相手に伝わると笑われる」と考え、人前に出るのを避ける - 汗恐怖:自分の汗が目立つのではないかと恐れる。
例:「汗シミができていたらどうしよう」と考え、人混みや暑い場所を避ける - 体臭恐怖:自分の体臭が相手に迷惑をかけると思い込む。
例:他人との距離を保とうとする - 容姿恐怖:自分の容姿が他人にどう見られているかを過剰に気にする。
髪型や服装を完璧に整えようとする、容姿のことで笑われているように感じる
学校や職場
- 発表恐怖:プレゼンやスピーチを極端に避ける。
例:授業での発言が怖い、職場での報告がストレスになる、声の震えやめまいがする、声が発せられなくなる - リーダー恐怖:グループで指揮をとることが怖い。
例:「失敗したら責任を問われる」と考え、役職を避ける - 面接恐怖:就職や学校の面接が過度に怖い。
例:「どもったらどうしよう」と考えどれだけ準備しても自信が持てない、面接に落ちてしまった時のことを考えてしまう
特定の状況
- 異性恐怖:異性と話すことや関わることへの恐怖。
例:異性がいる場面で緊張して会話ができない - 権威者恐怖:上司や教師など、権威のある人に話しかけるのが怖い。
例:「失敗したらどうしよう」「馬鹿にされたらどうしよう」と考える - 大勢恐怖:人が多い場所にいることが苦痛。
例:パーティーや人混みが苦手で孤立してしまう
日常生活の中で社会不安障害を克服するには?
社会不安障害は様々な種類があるため、人それぞれにあったアプローチが必要です。例えば、人前で話す際に極度に緊張してしまう場合は、言いたいことの数を絞ってみましょう。3つくらいにまとめて、「それだけを伝える」ことに意識を向けます。
克服に重要なこと
少しずつ慣れる(段階的曝露法)
恐怖を避けない:少しずつ恐怖を感じる状況に慣れていく方法です。一気に克服しようとせず、徐々に不安を乗り越えます。
例:・最初は「挨拶だけ」から始める。次に「短い会話をしてみる」などステップを細かく分ける
完璧を目指さない
失敗を許す:すべてを完璧にこなす必要はありません。話すことや行動に多少のミスがあってもだれも気にしないことを理解しましょう。
自分の価値を見直す
自分自身を大切にする:他人にどう思われるかではなく、自分自身を大切にすることを意識します。
例:「他人は自分のをそこまで気にしていない」という視点を持つと、不安が和らぎます。
日常で出来るセルフケア
呼吸法
深い呼吸やリラクゼーション法を活用して、緊張したり恐怖を感じた時にリラックスできる習慣を作ります。
例:4・7・8呼吸法:4秒かけて息を吸い、7秒間息を止め、8秒かけてゆっくりと吐く。
マインドフルネス
今この瞬間に意識を集中させる方法です。不安な考えが頭を支配しそうな時、「今」に注意を戻します。
マインドフルネスの詳しい行い方はこちらの記事で紹介しています。
健康的な生活習慣を整える
睡眠、栄養、適度な運動が心の健康に大きな影響を与えます。カフェインやアルコールは不安を増幅させる場合があるので控えめにしましょう。
認知行動療法(CBT)を試してみる
自動思考を見直す
不安を感じた時に浮かぶ「ネガティブな思考」を書き出し、現実的かどうかを振り返ります。
例:「間違えたら恥ずかしい」→「誰でも間違えるし、それで相手は気にしない」と捉えなおす
行動実験を行う
「不安に思うことが本当に起きるのか」を試してみます。
例:話し相手が自分の失敗をどのくらい気にするのかを確認する。(意外と気にされないことに気付く)
実生活での実践
小さな成功体験を積む
自分のペースで進めることが大切です。小さな成功を積み重ねていくと、自信が徐々に高まります。
例:・店員さんに話しかける。知り合いに笑顔で挨拶する
信頼できる人(アプリ)にサポートしてもらう
家族や友達に、自分の気持ちや不安を話してみることで、孤独感が減り、安心感を得ることができます。周りの人の話しにくい場合は、丁寧に話を聞いてくれるアプリを使うことでも効果を得ることができます。
まとめ
社会不安障害の種類と起こる原因、克服する方法をまとめました。社会不安障害を克服していくには以下の心構えが大切です。
- 一歩ずつ進む:克服には時間がかかります。焦らず、小さな進歩を大切にしましょう。
- 自分を責めない:不安を感じるのは「弱さ」ではなく、一つの特性です。
- 無理をしない:どうしてもつらい時は、避けることも選択肢として許容しましょう。
必要に応じて専門的なサポートを受けることも選択肢の一つです。
参考文献:ゆうき ゆう監修『マンガでまるっとわかる!はじめての心理学大全』西東社出版、2016年

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今回も人と関わっていくうえで避けることはできない人間関係の悩みを減らすための手助けになる情報をまとめました。他の記事もありますので、あなたが今よりより生きやすくなる手助けになれば嬉しいです!X(Twitter)でお悩みの募集もしています。